自然から学ぼう その02

地震や津波、自然災害のしくみと被害

出典:いわて震災津波アーカイブ(提供:岩手県教育委員会「いきる かかわる そなえる(中学校用)改訂版」)

地震前と地震後の地殻変動にみる変化

2011(平成23)年に発生した東日本大震災により、東北地方から関東地方の広い範囲において東向きの地殻変動が見られました。
宮城県牡鹿半島では約5.3m東に水平移動し、本震前から5年間の累積の地殻変動は6mを超えています。宮古市津軽石では本震前から5年間の累積で約3.4mの水平移動が観測されています。
上下方向では、東北地方の太平洋沿岸で大きな沈降が観測され、本震前から5年間の累積では牡鹿半島周辺で約80cm、宮古市津軽石では約38cmの沈降が確認されています。

水平変動量(本震翌日から1年後までの累積)

出典:国土地理院ホームページより抜粋 https://www.gsi.go.jp/kanshi/h23touhoku_5years.html

大きな被害をもたらす津波

2011(平成23)年に発生した東日本大震災では、岩手、宮城、福島県を中心とした太平洋沿岸部を巨大な津波が襲いました。
各地を襲った津波の高さは、岩手県宮古で8.5m 以上、大船渡で8.0m以上、福島県相馬では9.3m以上、宮城県石巻市鮎川で7.6m以上などが観測(気象庁検潮所)されたほか、宮城県女川漁港で14.8mの津波痕跡も確認(港湾空港技術研究所)されています。
遡上高(陸地の斜面を駆け上がった津波の高さ)では、全国津波合同調査グループによると、宮古市重茂姉吉国内観測史上最大となる40.5m(宮古市重茂姉吉)が観測されました。
国土地理院によると、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県62市町村における浸水範囲面積の合計は561km2。これは、山手線の内側の面積の約9倍にあたります。また、仙台平野では海岸線から約5km内陸まで浸水したことが確認されています。

(出典:内閣府「防災情報」)

各地の津波高・浸水高

(一般財団法人日本気象庁協会ホームページ平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震津波の概要(第3報)青森県~福島県の津波高・浸水高および青森県~千葉県の浸水状況」(赤字は、)津波観測施設が津波により被害を受けたためデータを入手できない期間があり、後続の波でさらに高くなった可能性があることを示す。
*はGPS波浪計による観測値)

出典:岩手県 平成25年3月発行「岩手県東日本大震災津波の記録」

津波の高さと浸水深、痕跡高、遡上高

出典:気象庁

津波の特徴

01 津波は“海から来る洪水!”津波を見てから逃げても間に合いません!

津波上陸後のスピードは時速約36キロ。オリンピックの短距離選手並みの速さです。
波の高さは浅いほど高くなり、沿岸で急に高くなることもありえます。

02 津波は繰り返し襲ってくる!

津波は1波だけではなく繰り返し襲来し、第2波以降が最大高となる可能性があります。第1波が最大とは限りません。

03 津波は引き波から始まることもある!

「津波の前には必ず潮が引く」という言い伝えがありますが、必ずしもそうではありません。津波が押し寄せてくる波を「押し波」、引いて行く波を「引き波」と言います。津波は引波から始まると言われることが多いですが、第一波がどちらになるかはわかりません。引き波は流れが速いのが特徴です。

04 津波は川を逆流する!

河川の周辺も警戒が必要です。
津波は河口などから入り、河川や運河・水路に沿って内陸の奧深くまでさかのぼります(遡上)。通常、河川は川上から川下へ流れていますが、地震の時には流れが逆流します。
東日本大震災では、津波の遡上が河口から約50kmの場所でも記録されました。

05 地球の裏側からも津波は来る!

1960年チリ地震津波のように、地球の裏側のはるかに離れた場所で発生した「遠地津波」でも津波被害が発生する場合があります。

※気象庁ホームページ「津波から身を守るために、津波を知る」を基に作成
https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/tsunami_bosai/index.html#tsunamiknow

強い揺れや長い揺れを感じたら、また、地震を
感じていなくても津波警報等を見聞きしたら、
直ちに高い場所へ逃げよう!

大きな音が流れますので、音量にご注意ください。

音声 サイレン(警報音)パターン 数値 表現
大津波警報 10m超/10m/5m 巨大
津波警報 3m 高い
津波注意報 1m