10月6日に発生した台風第19号は、大型で猛烈な台風に発達した後、同月12日19時前に伊豆半島に上陸。静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方で記録的な大雨となり、気象庁は13都県に大雨特別警報を発表し、最大級の警戒を呼びかけました。
台風は同月13日に温帯低気圧に変わったものの、その後も18日夜から19日夕方、また24日から26日にかけて太平洋側を中心に広範囲で短時間豪雨が続き、各地で河川の氾濫やがけ崩れ等が発生。全国で死者104名、住家被害で全壊3,308戸、床上浸水8,129戸の被害を出し、岩手県では宮古市、岩泉町、釜石市で土砂崩落・道路陥落による集落の孤立が特徴的な被害となりました。
(総務省消防庁「令和元年版 消防白書」、内閣府防災情報「令和元年台風第19号等に係る被害状況等について」(令和2年4月10日))
10月12日から13日にかけて宮古市を通過した台風第19号は、平成28年に発生した台風第10号をも上回る猛威をふるい、日最大1時間降水量84.5mm、月最大24時間降水量393.5mmと、いずれも宮古市観測史上最大の降水量を記録しました。この大雨により川の氾濫や土砂崩れ、道路の決壊 、住宅への浸水など甚大な被害をもたらしました。
政府は10月29日、台風第19号の被害を、大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定する政令を閣議決定。市町村の復旧工事等を国や県が代行できるようにする制度で指定は2016年の熊本地震に次いで2例目で、台風では初めてとなりました。
・宮古市の社会福祉施設2箇所において生徒119人、教員37人が土砂崩落により孤立
・宮古市(重茂荒巻地区)において12世帯39人が道路陥落により孤立
・宮古市(重茂鵜磯地区)において6世帯20人が道路陥落により孤立
・宮古市(重茂仲組地区)において18世帯46人が道路陥落により孤立
・宮古市(重茂追切地区)において20世帯65人が道路陥落により孤立
・宮古市(重茂千鶏地区)において12世帯34人が土砂崩落により孤立
・宮古市(重茂石浜地区)において5世帯22人が土砂崩落により孤立
・釜石市(佐須地区)において25世帯88人が土砂崩落により孤立
・釜石市(尾崎白浜地区)において108世帯260人が土砂崩落により孤立
(令和2年4月10日、内閣府「令和元年台風第19号等に係る被害状況等について」より)
市町村名 | 一関市 | 釜石町 | 大槌町 | 宮古市 | 山田町 | 岩泉市 | 田野畑村 | 久慈市 | 普代村 | 合計 |
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土石流等 | ー | 24 | 5 | 21 | 6 | 5 | 6 | 1 | 6 | 74 |
がけ崩れ | 1 | 3 | ー | 6 | 5 | 1 | 6 | 1 | 1 | 24 |
合計 | 1 | 27 | 5 | 27 | 11 | 6 | 12 | 2 | 7 | 98 |
岩手県県土整備部砂防災害課発表「土砂災害発生箇所数」令和2年6月18日更新
「県内では3名が死亡、7名が重軽傷を負ったほか、宮古市、久慈市を中心に2,486棟もの住宅が損壊や浸水などの被害を受けています。 道路や河川などの公共土木施設、 農林水産や商工関係など、被害総額は373億円余りに上っています。今年3月に全線開通した三陸鉄道は、路盤・盛土の流出、のり面崩壊、土砂の流入等により、線路77箇所、電力信号通信16箇所が被災し、釜石-宮古間、田老-久慈間で運転を見合わせています(代行バスを運行)。順次、復旧工事を進め、一部区間から運行を再開していく予定ですが、 全面復旧には相当期間を要する見込みとなっています」